INTERVIEW長門で働く方々の声
INTERVIEW【対談】長門市 江原市長 × Visual Marketing株式会社 土屋氏が語る、進出1年の軌跡。「人口3万人」のフィールドが持つ無限の可能性とデジタル文化の定着
お話を聞いた人
長門市長江原 達也 さん
Visual Marketing株式会社土屋 文人 さん
長門市に情報産業の企業が進出してから1年。今回は、江原市長と、進出企業の一社であるVisualMarketing株式会社の土屋さんに、この1年間の取り組みの成果や手応えについて語っていただきました。デジタル人材の育成から始まり、長門市を「ブルーオーシャン」と捉える視点、海外企業の注目、そして人口3万人という規模だからこそ実現できる実証実験のモデルづくりなど、地方における持続可能な新しい未来へのアプローチに迫ります。
ゼロからのIT人材育成とDX化の提案と可能性
(土屋)
進出企業の一社として、1年を振り返って何をやってきたかということを最初にお話ししたいと思います。
縁があって長門市に進出することができたのですけれども、最初にまず、ウェブサイトの裏側で動くプログラムを書く、コーダーと呼ばれる人たちを育成するスクールを開設をしました。
長門市の協力もあって最初に5人の研修生を迎え入れることができて、5人とも途中で挫折することなく無事に卒業することができました。
当初我々が期待していたよりもはるかに問題意識も高く、それから熱量もあって、非常にいい結果が出たのではないかと思います。
その結果、実は1人を弊社の社員としてお迎えすることができました。非常に優秀な社員として我々一同期待をしています。
(江原)
そうですね。まずは長門市は本当にデジタル人材が非常に枯渇していて少ない中で、まずは5人ですけれども、コーダー人材を育成していただいたことに対しては大変嬉しく思っておりますし、採用していただいたということも大変嬉しく思っております。
(江原)
また言われなかったのですけれども、この1年、色々な地元企業にDX化のご提案をしていただいて、色々なデジタルの活用についてお話をしていただいて。
お話しを聞いた側の企業さんからは、デジタル化について色々な可能性を感じたという話も2、3お伺いしております。
御社を誘致させていただいて、長門市に来ていただいて本当によかったと思っております。
(土屋)
ありがとうございます。
(江原)
1社でこれだけの活動をしていただいて、地域の方々からデジタル化の可能性について非常に可能性があるということを感じていただいているので、長門市の企業の生産性向上、そしてデジタル化に対するアレルギーを払拭していただいて、色々な可能性を追求して行けるようになればと思っています。
長門市場はブルーオーシャン
(土屋)
長門市に進出をして、一番最初に強く感じたのは「長門市には最初から市場がない」ということなのですね。これから進出しようと検討していただいている皆様にぜひ言いたいのは、「最初から市場はあると思うな」ということです。
むしろ進出をして自ら新しい市場をつくり出すという気概ですとか、あるいは経営資源を持っているところにこそ進出をしてほしいですし、そういう気持ちを持って進出をした企業同士の相乗効果があるといいなと思っています。
(江原)
今まで長門市にこういった情報産業の企業、ITコンサルティングの企業さんがなかったので、そういったところに入ってきていただいて、「ITとは何だろう」というところからしっかりと市内の企業さんと話をしていただき、問題を掘り起こしていただきたいです。
こういったことによって、皆様が情報産業・ITというのはこういうものだとわかって、未来に対して活用していこうという思いが出てくると思っています。
(土屋)
逆の視点から見ますと、やれていないことの方が多いので、ある意味ブルーオーシャンではないかなと思っています。
都市部ですと既にほかの先輩企業が手がけているようなことはたくさんあると思うのですが、恐らく長門市では、何をやっても先進的な取り組みと受け止めていただける場面が多いのではないかと思います。
これから進出を検討していただく企業の皆様には、その点に着目をしていただきたいと思っています。
(土屋)
昨年度、進出を決めていただいた企業の中に1社、台湾の海外企業があります。台湾に戻られてから「長門市と進出協定を結んだ」ということを非常に積極的に広報をしていただきまして、その結果、もっと詳しく話を聞かせてほしいという台湾の他の企業も何社も出てきていると聞いています。
実はそのうちの1社は、世界的に見ても先進的な取り組みをしている、ITとバイオを融合したような取り組みをされている企業なのですけれども、非常に前向きに検討していただいています。
それからそれとは別にアメリカの企業なのですけれども、やはり長門市の、特にモバイル系の通信環境がそれほど良くないという中で、1つのソリューションを提供できそうな会社も検討していただいていますので、そういう意味ではこれから、国際的な企業の進出というのも十分考えられると思います。
(土屋)
それからもう一方でですね、実は私どもは教育事業の一環として、戦争で日本に避難してきているウクライナの難民の方々が、日本でなかなか就職できないという現実を知りまして。
それならば長門市内でリ・スキリング教育をして、その方たちが日本の企業に就職する、あるいは自らスタートアップ企業を興して、長門市を起点にして事業を展開することも考えられるなと夢をふくらませています。
色々な場面で市民の方、あるいは行政の方とお話をすると「いや長門市なんかでグローバルと言われてもね」と、何となく腰の引けた反応が最初のころは多かったと思うのですが、現実にはできることがたくさんあると思いますので、ぜひ市長も市の職員さんに発破をかけていただいて、グローバルな視点で色々物事を考えられるような癖をつけていただきたいなと感じています。
(江原)
そうですね。海外の自国で非常に活躍されている企業が、長門市から日本全体に事業を拡大していく、そういう気概を持ってぜひ来ていただければと思っています。
長門市はIT人材というものが基本的には枯渇している地域でありますので、ウクライナの方や地域の方に、しっかりとITを、技術を教育していただいて、そういったIT人材を生み出していただくということは本当に長門市としてはありがたいことだなと思っております。
長門市の最先端教育と人口3万人の実証実験
(土屋)
長門市の案件を検討し始めたときに、最初に気がついたことが「大学がない」ということなのですね。
これは非常に裾野の広い組織で、大学がないので高校を卒業した子供たちが長門市外に流出してしまう。で、帰ろうと思ったら職場がないというふうに、非常に悪循環が生まれているなと感じています。
大学という組織にこだわる必要はないと思いますけれども、ある意味、最先端の教育を受けられるような仕組みというのは非常に大切だと思っていまして。それはこれから、どんどん人口が減っていって日本の子供たちが減っていく中で、最初から日本で勉強したいという海外の人も含めて受け入れる、幅の広いような、間口の広いような教育の仕組みというのはできないかと夢見ています。
(土屋)
長門市というのは色々なものが整備されているわけでは必ずしもない地域ですけれども、逆にそういう新しい取り組みが起点となって、その周辺にインフラが整っていくような好循環が生まれるといいなと感じていますので。
冒頭で申し上げたとおり、大学という名前とか形式にこだわらずに、内容的に先進的な教育ができるような試みを続けていきたいと思っています。
(江原)
先ほどの大学が長門市にはないという話の中では、今、山口県にある色々な大学さんが、長門市が企画、運営するIT拠点(HIRAMEKI Nagato)について非常に興味を持っていただいておりまして。
完成した暁には長期インターン等を、学生を参加させたいという大学も結構ありますので、そういったところにも受け入れ体制をしっかりしていきたいと思います。
(土屋)
ありがとうございます。
以前市長とお話しをしたときに、「人口3万人というのは色々な制約があって大変ではないですか?」という話をしたところ、「いやいや、逆にやりやすいのですよ」というお答えが返ってきて、非常に頼もしいと思ったのですね。
行政区があまり大き過ぎるとなかなか行政の一存で決められないことも多いでしょうし、かといってあまり小さ過ぎると新スキームに対する支援のリソースも限られるということがあると思うのですが、ちょうどその人口3万人というところで、進出企業のかなりの皆様が“実証実験”をしたいという気持ちを大変強く持っているのですね。そのためには丁度良いサイズでもあると思います。
(土屋)
それから、日本の社会を象徴するような高齢化がかなり進んでいるということもあって、そういった象徴的な環境の中で“実証実験”が仮にうまくいったとすると、それを日本国内の他の都市に国内輸出できるような、モデルになるような取り組みというのがこれから大事になってくるのかなと思います。
我々もその一員としてぜひそういうモデルをつくっていきたいと思います。
(江原)
Visual Marketing株式会社さんには、市内企業へのデジタル化の推進だけではなく、色々な多方面の企業をご紹介いただいたりしているわけです。
これからも色々そういった、私たちでは手の届かない、なかなか接点が持てない企業をぜひ紹介していただいて、一緒にこの長門市にしっかりと“デジタル文化”を根付かせていければいいなと思っております。
ぜひ一緒にお願いできればと思います。
(土屋)
お願いいたします。