INTERVIEW長門で働く方々の声
INTERVIEW【座談会】長門市発、地方を変える新たなビジネスの創出と「人に寄り添うサービス」の価値
お話を聞いた人
長門市で進められてきた、地元起業家への伴走支援とビジネス創出の取り組み。今回は、約2年にわたる支援を経て素晴らしいプレゼンを披露した末永さんと青村さん、そして支援を行ってきた専門家の矢作先生、土屋さん、二見さん、長門市役所の河野さんに集まっていただきました。これまでの振り返りと長門市から生まれる新たな価値、そしてAI時代に求められる「人に寄り添うサービス」について語っていただきました。
CHAPTER01
日本の地方を変えるアウトプット
「やりたかったこと」が形になる喜びと、世界を見据えた第一歩
(二見)
1年間の取り組みを振り返っていきたいと思います。
一番最初に矢作先生に講義をしていただいてから約8ヶ月間ほど間が開きましたが、今回このような結果が出て先生はどう思われましたか?
(矢作)
我々が講義をしてきたことを抜きにしても、今日のプレゼンを見ますと、ものすごく良いプレゼンだったと思います。
(二見)
土屋さんはどう思われましたか?
(土屋)
何回も繰り返すともっとブラッシュアップすると思いますね。少し初々しい感じがありましたが、プレゼンは場数だと思いますので。
これから世界企業になるんですよね? 世界にプレゼンをしていかなければいけないのですから。
(二見)
末永さんは先日の打ち合わせの時も「右手と右足同時に出ちゃう」と言っていたのに、上手にできていましたよ。
(末永)
おっしゃる通り、プレゼン資料の作成は助けていただきましたが、プレゼンの内容は私がやりたかったことを形にしていただいたので、それはすごく嬉しかったです。
発表しながら「もしかしてこれいつか形になるんじゃない?」と思えただけでも、私としてはすごく嬉しかったです。
(二見)
青村さんはどうですか?
(青村)
そうですね。僕が頭の中で描いたものを具現化した資料だったと思うのですが、V-P-Cについてよく理解できましたし、V-P-Cを意識すれば(有)仙崎海産で取り扱っている商品も、さらにV(買い手が求める価値)をつけられるのかなと意識するようになりました。
僕達はもづくだけを販売すると売上はもづくの値段になってしまうので、メーカーとして加工度を上げていかないと他社と差別化できないのです。
(矢作)
どのような加工をされるのですか?
(青村)
原料は沖縄から塩漬けで送られてきますので、それを塩抜きします。
そのまま売る場合もありますが、多くの方が“もづく=酢の物”なので酸っぱくないメニューにして、秋冬の寒い時期に売るために「スープ」という温かいものにしました。
(二見)
パッケージもしっかりしていまして、お湯注ぐだけで食べられるのですよ。
まさにVを上げる話ですよね。
長門市が持つ本来の価値と、伴走支援で見えてきたワクワクする将来像
(矢作)
長門市には全国あるいは世界展開できるものもたくさんあるような気がします。
展開の仕方が地味ですよね。だから、長門市に来ると我々は心が休まるというのは、そういう社会だからかもしれませんね。
世界企業ばかりになって殺伐としてしまうのは嫌ですが、その心を大事にしながら、せっかくこれだけの価値があり世界展開を出来る企業ですから。
(二見)
長門市の方はとても真面目なので、コツコツやられているところに僕らが刺激を加えていく。そうすれば化学変化が起きるかもしれないですね。
以前お二人に「先生や僕らの話や発想がぶっ飛んでいる」と言われたのですが、それが僕らの役目かもしれませんね。
(河野)
僕はお二人がゼロからスタートして学んでいるところを見てきたので、ドキュメントとして具現化されたものを見ると、それだけでワクワクする感じを受けます。
末永さんの「Flower Concierge」は、デザイナーとそのデザインを再現する人がうまくマッチングすると、小さい町のお花屋さんも売上が上がって、デザイナーの人にも還元されて良い方向に行くのかなと思いました。
お花は旅や食などとの親和性がすごくあると思うので、シチュエーションの演出が必要なところにプロフェッショナルのお花屋さんが入ってくるとすごく素敵な部分が見えるかと思います。
青村さんの「ながと人材シェアリング」は、今は製造業で繁忙期の交換という人材交流という形ですが、これはあらゆる分野に通用するものだろうと思います。情報通信業や建設業など色々な職業でこのモデルケースは使えるのではと思っています。
将来像を想像するとすごくワクワクするなと思いました。
CHAPTER02
人に寄り添うサービス
人に寄り添うサービスと体験型の価値
(二見)
実はこの取り組みは2年かかっています。一昨年は土屋さんにも助けていただいてDXセミナーを開催しました。
“仕組み化の知識”をお二人とも伴走支援させていただいた上でなので、2年分の成果が今日は見られた形だったのです。
(末永)
実践しないとこの2年が無駄になるので、どちらかと言うと「今から」という感じがすごいしますよね。
(土屋)
伝える時に、普通は“私”が主役になるではないですか。だけれども、体験型の価値っていうのをもう少し加えたらもっと面白いと思うのですよ。
もづくスープの話に戻ると、日本ならではの食材であったり、それを楽しむ文化であったりということを体験してもらうことが一番のプロモーションになることもあるではないですか。
まさに「Flower Concierge」などはそうで、想定としてはアーティストとお客さんは会話しますか?
(末永)
細かいところは相談できるようにしたいと思っています。
私が“お花の定期便”をしている中で、相手の方がお孫さんがおばあちゃんにプレゼントをする等、花を贈るだけに見えるけど、お花は心や想いを伝えるのがすごく得意なので、送る側のその時の想いを伝えることがすごく大切で、そういうところで伝えてあげられたらなとは思ってます。
(土屋)
しかもその体験が蓄積されていって、それが伝承されるプロセスね。
これは技術が支えることによってより価値が生まれてくるので、そういう観点でも一回見直してもらったら面白いと思いました。
やはり使い捨て消費型のものではないようなビジネスをこれからやっていったらいいかなと思いますけどね。
(二見)
そういう意味では“お花を贈る価値”って気持ちが残ることですよね。そこの部分はやはりテクニカルに書くと抜けてしまうので、想いの部分が事業計画書に入るとものすごくいいですよね。
(末永)
贈る方の“想い”は人間誰しもあるものなので、それがちゃんと伝わるように、システム化しても抜けないよう大事にできたら良いと思いました。
AI時代に残る「人間」の役割と長門市のおもてなし
(二見)
僕の知り合いの料理研究家が「手抜きはダメだけど、手間抜きはいいのよ」と言っていました。
AIの良いところを使う。それでデータベース化(ナレッジ化)をする。で、手間は抜いて、その分のクオリティーを上げる。
矢作先生の言う“V”を上げることに時間を使ってもらうと良いですね。
(土屋)
今までの自分の経験でいうと、チャットボットで色々質問するではないですか。正解にたどり着いたことは一回もないんですよ。そこはやはり人間でないとだめなのですよ。
「寄り添うサービス」とはそういうことだと思うのですよね。
(二見)
結局、最後の部分で人に聞きたくなるのですよね。
普通に見れば分かることも、やはり安心感も含めて聞きたいんですよね、皆さん不安なので。
そこのところはValueに転嫁できて、価格に転嫁できるのであれば絶対いいです。
(矢作)
一番最初に来た時からずっとね、長門市にはいい人が増えてるなって気がしてるわけ。
昨日行ったレストランの若い男の子と女の子も、『お客様だから』っていう態度ではないですね。僕らにとっては心地良い対応してくれる。大昔の日本というのはこういう人で溢れかえったのではないのかな。
それが色々競争社会になって殺伐とした人が増えたんだけど、ここはまだ地理的にも都会から離れてるっていうのもあるのでね、人がまだ“良き日本人”のままにいるのではないのかなっていう気が、ここを訪ねれば訪ねるほどするわけね。
(二見)
そういう場所だからこそ、我々も居心地が良いのですね。
(矢作)
この場所というのはそういう意味で、すごく大切にしなくてはいけない場所ではないかなと思うし、その良さをできるだけ他の人にも伝えて、真似をする人が増えてくれたらいいなって本当にそう思いますよね。
だから僕は来るたびに心地いい気持ちで帰ってます。
(二見)
それは良かったです。
また長門市役所の方々には、ぜひこういう機会を多く作ってもらって、僕らが継続してお手伝いできるよう機会をぜひ作っていただいて。お二人にも頑張っていただきたいです。